研究開発実験装置 導入事例

工学博士 嶋 敏之さん,北学院大学 工学部 電子工学科 教授,電子材料、電子デバイス、計測、材料・デバイス系担当

先生のご専門と、研究内容について教えてください。

私の専門は「磁性材料学」と「薄膜材料」です。
高性能な磁石をつくるための基礎研究を行っており、薄膜を利用して、理想的なモデルとなるような試料を作っています。

例えば、パソコンに内蔵されているハードディスク(HDD)は、カセットテープ、フロッピーディスク、MOディスクなどと同様の磁気情報を用いたストレージデバイス(記憶媒体)であり、大容量の情報を格納でき、不揮発性などの特徴を有していることから、情報を記憶するための装置として、パソコン内で確固たる地位を占めるようになりました。
さらに、近年、大容量のHDDがDVDレコーダー、携帯型ミュージックプレーヤーのような家電製品にも搭載され、高品位の動画や大量の音楽を気軽に楽しめるようになりました。ユビキタス社会“いつでもどこでも”の実現のためにも、この大容量の情報を格納できるHDDの重要性は今後もさらに増すと考えられ、更なる大容量化、小型化(高密度化)が切望されています。
また、最近は省エネルギー政策を象徴するモーターを使った「ハイブリッドカー」の需要が急増しています。そのモーターには「ネオジム磁石」という永久磁石が用いられていますが、残念ながら我々はその特性を30%程度しか利用できていません。その磁石特性のメカニズムが解明されれば、モーターの性能が飛躍的に向上できるものと期待されています。

このように磁石は、身の回りにある色々なものに使われています。その磁石を同じ大きさで高性能にすることで、小さくすることができます。昔から携帯型ミュージックプレーヤーがありましたが、あれも磁石が高性能になったことが小型化できた要因なんですよね。小型化ができれば、コストも削減でき、デザインにも幅が持たせられます。ハイブリッドカーでいうと、モーターのサイズが小さくなり、省燃費が実現し、車体のデザインの自由度が上がることになります。このように磁気の性質を利用した材料は、我々の生活には欠くことの出来ないものになっています。
私の研究室では、この磁性材料の研究を行っており、主にスパッタ装置という装置を使用し、薄膜を作製しています。

研究テーマ

  • ・超強力永久磁石の高性能化(Nd-Fe-B系の磁化機構の解明、
     微細構造解析、粒界相の効果、希少金属削減、磁区構造観察)
  • ・次々世代垂直磁気記録媒体材料の開発(Fe-Pt系)
  • ・ナノ構造化した薄膜試料の種々の磁気特性の発現
     (電子ビームリソグラフィーによる微細加工)
  • ・単原子交互積層法による人工規則合金の合成
  • ・磁場、電場、温度に敏感なデバイス用材料の新規開拓

どうしてその道に進まれたのでしょうかか?

基本的には「ものづくり」が好きだったからです。世の中には無いものを作りたいという欲求がありました。大学時代に人気のある研究室があり、そこで磁石の研究をしていたんです。それがこの道に入ったきっかけです。その時の恩師が言っていたのが、磁石というのは小さな子供でもすぐわかってくれる、大人から子供まで触っていると時間を忘れさせてくれるもので、わかりやすく説明できるものだと。そのあと、薄膜を作る研究室に変わりました。そこから現在に至ります。そのころから約四半世紀、アルバックさんとの付き合いも現在まで続いています。

導入を決めた理由と、導入後の感想

スペックや予算との兼ね合いもあり、どれにしようか迷いました。そして最終的にはこのQAMが面白そうなものができそうだと思ったのが一番の決め手になりました。このQAMに賭けてみようと思い、導入を決めました。
導入後も、アルバック九州の担当者の方は装置についての問い合わせに関し、常に真摯に向き合ってくれます。対応も良く、研究を推進するために非常に助かっております。

ULVACへの想い

アルバックとの付き合いは長いですね。大学時代、出会った当時はアルバックテクノでしたが、その後茅ヶ崎の超高真空事業部、電子機器事業部にも何台か装置を作ってもらいました。
アルバックの人は、まじめで素直でいい人ばっかりですね。手を抜くことはないですし、絶対にあきらめない所は本当に感心します。
ただ装置について言うと、
最初は設計者目線の装置造りで、ソフトウェアーの使い勝手が今一つというところでしたね。機能に忠実に作りすぎているといった印象でしょうか。でも今では我々ユーザーの要望を取り入れ、誰でも使いやすい装置に徐々に進化しています。ここは大きなセールスポイントになると思いますよ。

その他、興味のある物等

昔から車が好きですね。NSXは買えませんけど、やっぱり良いなと思いますよね。あのころのホンダの車は特にいいですね。昔流行ったスーパーカーブームでは良く見に行きました。
ちなみに今は、20年も前に製造された軽自動車に乗っています。スピードは出ませんが、オープンエアな環境でストレス発散にもなります。運転が楽しく愛着も湧いています。
あとは、アップルが新製品発表会をnet配信しているのですが、それを毎回見るのも楽しみですね。少し前まではスティーブ・ジョブズがやっていましたけど、彼の製品が好きで。デザインも機能もあって、ワクワク感がある製品がもっと増えたらいいなと思います。今の研究がその役に立つと考えるとそれも楽しいですね。
あとは、昔テニス、スキーもやっていました。今はあまりやってないのですが、そんな暇がないというのもあります。今は自分の体を動かすよりも、機械を動かす方が専らになりましたね(笑)